シュガー&スパイス
思い知らされたその事実に、カアアって体中が熱を持つ。
ドクンドクンって心臓が加速する。
背中越しに密着してる千秋に、きっとそれは伝わってる。
……恥ずかしい。
窓ガラスには、そんなあたし達がしっかりと映り込んでいた。
今にも泣きだしそうな自分。
千秋がそっと顔を上げて、あたしの頬に唇を寄せた。
「ねえ」
瞬きも出来なくて、ただユラユラと視界が揺れる。
泣きたいわけじゃない。
でも。
鏡の中のあたしは揺れていた。
「なにされた?」
「……」
ふわりと香る、ほろ苦い香り。
……煙草?
千秋、煙草吸うの?
黙っていると、肩に回されていた手があたしの頬に伸びる。
長くて華奢な指が頬に触れ、髪をかき分け、首を撫でた。
息が出来ない。
なに、これ……。
「俺以外に……なにされたの?」
「……なにも……」
ダメだ……。
もう立っていられなくなりそう。
千秋はあたしの首筋に触れているだけなのに、まるで愛撫されてると勘違いしてしまいそうだ。