シュガー&スパイス
あたしを抱くその腕にすがりついた。
千秋はそれを合図にして、あたしの首筋にそっと唇を押し当てた。
ビクンと電流が走ったみたいに、それだけで感じてしまう。
首筋を這う唇は、時々ねっとり吸い付いてカプッと甘噛みをする。
次々に襲う甘い刺激に、目眩がする。
さっきまでは、恐怖でしかなかった。
でも、今は……。
キスの合間に感じる吐息が熱を帯びる。
耐え切れずに、カタンと窓に両手をついた。
その手を追うように、千秋は自分の手を重ね、さらに指を絡ませる。
「……ちょ……千秋……」
「黙って」
耳元で囁くように言われて、大人しく言われた通りにしてしまう。
首筋、肩、鎖骨。
丁寧に、丁寧に愛撫される。
でも、千秋は唇にはしてくれなかった。
「おーしまい」
は?
この先を期待せずにはいられない。
そう思った矢先。
千秋は、呆気なくあたしから離れた。
「……っはあ……はあ」
火照った顔で、肩で息をするあたしを見て、千秋は眉を下げて笑った。
「俺すげぇ。理性の勝ち」
「へ?」
キョトンと首を傾げると、髪をくしゃくしゃと掻き上げて、「あーまじキセキ」なんてボソボソ言いながら、千秋はボスっとベッドに腰を落とした。