シュガー&スパイス


「よかったです。あ、今日はどうされますか?カット、でいいですか?」

「はい」

「あたし、ちょっと強引なところがあって。思い立ったらすぐに行動に出ちゃうというか。悪いところなんですけどね」


あたしの髪にくしを入れながら、眉を下げナガシマさん。


ん?

なぜかその顔に引っかかる。

なんだっけ……。


首を捻ったその時だった。


カシャーン!


静かなジャズが流れる店内に突然響き渡った音。

鏡越しに確認すると……。



「……」



そこにはアーモンドの瞳を見開いた、千秋がいた。

しばらく黙って固まっていた千秋は、ハッとして足元から何かを拾い上げた。
千秋の後ろから頭にタオルを巻いた女の人がひょこっと顔を出す。


あ……シャンプーしてたんだ。

にしても……。


びっくりしすぎだし。


素知らぬ顔をして、ナガシマさんの話に耳を傾けた。
でも。


「少しお待ちくださいね」


え?

そう言って離れてたナガシマさんの代わりにあたしの背後に現れたのは。



「……」

「……」



思いっきり不機嫌な顔をした千秋だった。


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