シュガー&スパイス

いつかのように、あたしにケープを巻きながら千秋は小さくため息をついた。


「……今日はどうされますか?」

「……」

「カラーですか?パーマですか?それともなにもしません?」


カチーン

……なによ。

なにもしないわけないでしょーが!
久しぶりに会ったのになんなの、その態度!

ほぼ1か月まともに顔合わせてないでしょ?
ムカつくっ!


「カットでッ」

「……」


もぉ千秋のバカ!

あほー!

もっと素直に喜べないかなぁ!


チョキチョキ
 チョキチョキ


無言のまま、あたしの髪がハラハラと木目の床へ落ちていく。

不意に顔の横に手が伸びてきて、後ろから多い被ってきた。

ひゃああっなっなに?

思わずビクッと小さく飛び上がって心拍数は急上昇。
って、あーなんだ。バランス見てるのか……。


「……」


てゆか、こうやって、よく長さを見てるけどこんなに距離近かったんだっけ?
そう感じるのは、相手が千秋だから?


ドックンドックン。

ああ、早く終わって……。


「……」


チラリと鏡越しに見上げると、パチンと目が合う。

わっ
まだ見てたぁ……。

慌てて逸らすと、背後で小さなため息が聞こえた。


ダメだ……。
やっぱり来なきゃよかった……。


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