シュガー&スパイス
……………。
「お客様、ご注文はいかがされますか」
「……お水を」
「…………かしこまりました」
そう言った店員さんの視線が突き刺さる。
厨房へ消えていったはずが、また他の誰かと顔を出し、こっちを見て何か話してる。
あたしはその視線から逃れるように、バックに手を突っ込んだ。
携帯を取り出して時間を確認すると、もう日付が変わる。
あはは。
そりゃ、変な目で見られちゃうよね……。
もうずっとお水しか頼んでないんだもん。
「……お待たせいたしました。 あの……ラストオーダーになりますが……」
コトリと小さなグラスがテーブルに置かれた。
顔も上げられない。
「……大丈夫です……」
なんで?
英司……。
このお店に来てから、すでに3時間はたっていた。
その間、何の連絡もない。
こんなこと、初めてだ。