シュガー&スパイス
プレゼントは君がいい
それから数日が過ぎた。
仕事から帰って簡単に夕飯を済ませると、お風呂に入って、ホッと一息ついた。
まだ濡れた髪が肩に触れるか触れないかでフワフワ揺れて、くすぐったい。
缶ビールのプルトップを持ち上げて、コクッと喉に流し込む。
「……ぷはぁ!」
それから、ふと手元に視線を落とした。
そこには、真新しい美容院のメンバーズカード。
担当は、“篠宮 千秋”。
後ろをひっくり返すと、簡単なプロフィールが書かれていた。
……えっと……A型のさそり座……。
生年月日は……
「……あれ?」
携帯を確認して、カードをテーブルの上に置いた。
11月22日って、今日だ。
プロフィールが載ってるなんて気付かなかったよぉ。
時計を見ると、すでに針は夜の9時を回ってる。
どうしよう。
おめでとうくらい、言いたいな……。
でも、隣の部屋は静かなままでまだ主は不在のようだった。
よし。
あたしは上着と財布を掴んで、慌てて外へ飛び出した。