シュガー&スパイス
今朝は、キラキラ光っていた世界。
『英司から連絡がない』
それだけのことで、世界中の色がなくなったみたいだった。
重い足で、古いアパートの階段を上がる。
カツン カツン
ヒールの音が、頭の奥に響いてくる。
お腹すいた……。
英司が来るかもしれないって、何も食べずに待ってたからな……。
沈んだ心とは、裏腹で。
人間の生理現象とは恐ろしい。
さっきからグーグーなってるお腹を押さえた。
学生の頃は、好きな人を思うだけで、食欲がなくなっていた気がするんだけど。
「はぁ……あたしも年とったって事か……」
もうすぐ25歳の誕生日を迎える。
10代の頃のように無茶が出来なくなったなーって、この頃思う。
ゴソゴソとバックから鍵を取り出して、違和感に気付いた。
……ん?
「…………段ボール?」