シュガー&スパイス
ヴーヴー
ヴーヴー
「……ん……」
頭上に響く重低音に、重たい瞼を開ける。
ベッドの脇のチェストの上で、携帯が点滅していた。
あれ、目覚まし?
モゾモゾと布団から手を伸ばす。
……届かない。
ヴーヴー
ヴーヴー
……もう少し…あたしはまだ眠いのぉ。
さらにグッと腕を伸ばしたその時。
「っわ!」
いきなり布団の中に引きずり込まれた。
な、何っ!!!?
それで一気に目が覚めた。
体に回された筋肉質な腕が、後ろからあたしの自由を奪った。
はっ
あ、あた……あたしそう言えば昨日……。
思い出してガチガチに固まった。
ギギギって音が出そうな程不自然に振り返る。
……千秋?
ね、寝てるの……?
耳元で不規則な息が聞こえ、真っ黒な前髪に隠された長いまつ毛は、ピクリとも動かない。
窓から差し込む日の光ににわかに明るく照らされた、その顔を思わず見入ってしまう。
こんなにマジマジと見るのは初めてだ。
やっぱりキレイだなぁ……。
あー、睫毛ながっ
あたしより長い……。
千秋にはツケマとかエクステとか無縁だろうな。
薄く開いた唇。
赤みを帯びるその唇は、昨日あたしのあんなトコやこんなトコに触れたわけか……。
カアアアア
なに考えてんのあたし。
へ、変態かっての。
やめ、やめ!
パッと顔を逸らしたその時だった。
いきなりフッて息が髪にかかった。
えっ