シュガー&スパイス
それから千秋は何度もあたしを抱いて、平然とした顔で仕事へ出かけて行った。
あたしなんかもうクタクタだ。
千秋の余韻で、のぼせてるみたい。
オフィス街。
ビルの窓に反射する朝日が眩しくて、思わず顔をしかめた。
いつものように、朝の通勤ラッシュはうんざりしちゃう。
でも、不思議。
毎朝見てる光景のはずなのに、それに色が加わったみたいにキラキラと輝いて見えるんだから。
あたしって、単純だんだなぁ……。
それにしても……ふふ。
やば、思い出しちゃった。
部屋を出る時、名残惜しそうにあたしを抱きしめる千秋の事。
『あーくそ。まだ離したくねぇのに。……足んない。ちっとも足んねぇよ』
そう言って、せっかく着た服を脱がしにかかるあの男。
ほんとエッチ。
…カアアア。
性懲りもなく火照る顔を思わず両手で抑えた。
「……なんなのあのアイツ。ケモノ並み……」
「ケモノってなに?なんか出た?」
えっ
いきなり声をかけられて、慌てて顔を上げた。