シュガー&スパイス
美味しそうなお料理を前に、あたし達のおしゃべりも自然と盛り上がる。
自然とクリスマスの話題になった。
アンチョビのパスタを頬張りながら、あたしは友里香さんを見上げた。
「もうすぐですね、結婚式」
「あそっか。明後日じゃないですか。準備大丈夫なんですか?」
倫子はそう言って、ニョッキを刺したフォークをお皿に置いた。
「ふふ。大丈夫よ。この時期に準備が出来てないなんてこと、あったら一大事だわ」
未婚のあたし達には未知の世界。
結婚式の準備っていったら、前日までずーっと大変なんだろうなって言うのは漠然として感じていた。
でも、確かに。
「あ。でもこの後エステが入ってたな」
「ええっ」
あっけらかんとそう言う友里香さんに、慌てて携帯を確認する。
「な、何時からですか?」
「平気平気。わたしが帰るまで待っててもらってるから」
「え?」
あ。
そっか。
友里香さんお金持ちだった。
あたし達と最近こうして食事する機会があるから、すっかり忘れてたけど。
家で待ってるとか、いいなぁ……。
エステなんて、昔友達に誘われて行ったくらいで、それからやってないんだっけ。
あたしもそろそろそう言うの、気にした方がいいのかなぁ。
卵のようにつるんと綺麗な肌の友里香さんを、ぼんやり眺めていると、そんな彼女があたしを見て、クスッと笑った。
ん?