シュガー&スパイス
……。
「……って!なんですか?」
「え?」
あたしに続いて部屋に上がろうとしている見ず知らずの男。
キョトンとして、目をパチクリさせてる彼をキッと睨む。
「なにって、菜帆さんの部屋で待たせてもらおうかと。ダメですか?」
「ダメに決まってるでしょお?いい加減にしてくださいっ」
「でも……」
あたしが怒ってる理由がわからないのかさらに、首を捻った彼。
もおおお!
なんなのぉぉ?
と、その時だった。
すぐそばにもう一人。人の気配。
顔を上げると、それは彼の探してる張本人の千秋。
その千秋ときたら、キツネにつままれたみたいな顔をして固まっていた。
そしてぎこちなく動く唇は、小さな言葉を零した。
「……直哉?」
――― へ?