シュガー&スパイス
手が触れてるだけなのに、ドクドクと鼓動が加速する。
ああ、ほんとにあたしって単純。
見つめられて、心の中まで見透かされてるみたい。
ドギマギして視線を落とすと、千秋は今度はあたしの背後に回った。
えっ、なに?
思わずギュッと目を閉じると、うーんとうなる声。
そして。
「きれいにまとめてるね」
へ?
なにが?
言おうとして、顔を上げると千秋もヒョイっとあたしを覗き込んだ。
「菜帆ってさ、うなじすっげぇキレイなんだよ」
「……う、なじ?」
「うん。だからこうして髪をあげると、めちゃ色っぽい」
あ、なんだ。
髪の事か……。
「そうかな」
でも、ちょっと頑張ったんだよね~。
嬉しいな……。
えへへって笑うと、いきなりチュッと首筋にキスを落とされた。
「ひゃああ!な、なにすんの」
突然の事で思わず飛び退いた。
そのついでに、持っていたバッグも落としそうになってしまった。