シュガー&スパイス
絡み合う視線。

彼の動きに合わせて、軽やかな髪が揺れる。


「……。……夜、空いてる?」

「え?」



夜……。

もしかして、一緒にいてくれるのかな?


「うんっ」


嬉しくて、気持ちが抑えきれなくてコクリを頷いたあたしに、千秋はにっこり笑うと、


「じゃあ、あの教会で」


そう言って、一気に車に乗り込んでしまった。

バタンと扉の閉まる音で、待ちきれなかったように車は滑り出した。



教会……。

千秋と前に踊った、あそこだよね?

それからあたしは、フワフワとまるで宙に浮いたような気持で英司と友里香さんの挙式会場へと向かった。



空は清々しいほどに晴れ渡り、薄い雲が気まぐれに流れていく。
頬を撫でる冷たい風も、まるで心を洗い流すように肺を満たす。


どこか清らかな、クリスマス。

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