シュガー&スパイス


耳を澄ますと、それはお隣から。

どうやら、『篠宮さん』はおひとりではないようだ。



かすかではあるけど……こんなに聞こえるもんなんだ。
前に人が住んでた時は、聞こえなかったんだけど。

あたしも気をつけなきゃ。


そう思って、残りのビールをゴクリと喉の奥に押し込んだ。



明日も早いし、もう寝なくちゃ。

テーブルの上の携帯を覗き込む。



時刻はとっくに深夜1時をまわっていた。




「……英司のばか……」




鳴らない携帯に向かって、ツンと顔を背けた。







――ドン!




「……?」



いきなり壁を蹴るような物音。
それはまたしてもお隣から……。



まさか……ケンカ?


そして……。





『……ぁ……ぁぁッ……』





……へ!?


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