シュガー&スパイス
ドン
ドン
『ぁぁ……ぁッぁッ』
う、嘘でしょ……
これって、この声って……。
もしかして、もしかしなくても、あの声!?
き、聞こえない。
聞こうって思うからいけないんだよね。
さっさと寝ちゃおう。
「……」
『っぁ! ぃぃッ……ぁぁッ……』
「……」
どんなにいいの……。
「……わあああっ」
薄い壁の向こう側の情事を思わず思い浮かべて、慌ててそれをかき消した。
……て、てゆか、そもそもこんな夜中にそんなおっきい声出してたら、うちだけじゃなくて、きっとご近所中に響き渡ってるはず。
気をつかってほしいもんだ!
あたしは邪念を振り切るように、布団でガバッと顔を隠した。