シュガー&スパイス

ええええって驚愕しまくりのあたし。
千秋はすました顔で、あたしの手に指を絡めるとがっちりと掴んだ。

いや、恋人繋ぎなんですけど……。
初めてなんですけど……。

って、トキめいてる暇もない。


呆気にとられてるあたしに、千秋はさらに続ける。


「今までは隣だったのが、同じ空間になるだけじゃん」

「そ、そっか。……ってそう言う問題じゃないでしょ!」


アホかー!
あたしをなんだと思ってるの?


む、むかつくっ

もっと言い方あるでしょ?デリカシーなさすぎっ!

うう、離せっ!


ジタバタしていると、ガチャと音がして教会の外へ出た。


瞬間包まれる、肌を刺すような冷たい空気。
一気に吐く息が、白くなる。

そこでようやく千秋は足を止めた。


「あ、雪」


え?

その声に見上げると、空に広がる雲からチラチラと真っ白な雪が舞い落ちていた。



それはまるで神様からの贈り物。

真っ白なこのプレゼントは、きっとすぐ消えてしまう。

だけど、あたしの心はまるで洗われるように澄んでいく。



なんか小さなこと、どうでもよくなっちゃった。




小さく息を吸い込むと、握られた手にギュッと力を込めた。

すぐに、ギュギュって返してくれる、愛おしいぬくもり。



ああ、なんて……。

なんて幸せなんだろう。


その時、どこからともなく鐘の音が聞こえた。




リゴーン
 リゴーン



これからのふたりを祝福する鐘の音が響く。


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