シュガー&スパイス
意外な救世主
その日も、残業が長引いた。
どうしてこうも、毎日毎日……。
……って、ダメだよね。忙しいってことは幸せな事だもん。
この就職難の時代、仕事で忙しいなんて、むしろ喜ばなくちゃ。
そう言い聞かせて、むくんでパンパンになった足を引きずって、なんとか駅にたどり着いた。
英司は明日も仕事って言ってたから、あたしは買い出しをして英司の家で待ってる予定になっていた。
英司の好きな美味しいワインを買ってこう。
明日の事を考えれば、疲れなんて吹っ飛んじゃうんだから、あたしって単純だ。
電車の中は、帰宅ラッシュと金曜日という事も重なって、物凄い人。
朝よりひどいんじゃ……。
この体にこの状態はきついー……。
ひと駅なんだもん、耐えなくちゃ。
もみくちゃにされながら、吊革につかまって、なんとかしのいでいた。
「…………」
え?
この感じ……。
またお尻に違和感が!
揺れに合わせて、サワサワと……。