シュガー&スパイス


はにかんだあたしを見て千秋は「ふーん」って目を細めた。

その瞳が、挑発的に光る。



「な、なに?」



さっきまでの人懐っこい笑顔はどこいったのよ。
そんなに見ないでくれるかな。



「菜帆ってそーいう感じの服着るんだ。
へえ、このワンピの透け感、なんかエロいな」

「はっ!?」



え、エロい!!?
真っ赤になったあたし。開いた口が塞がらない。



「なんか無駄に誘われてる気分」

「む、無駄!? てゆか、別にアナタのことなんか誘ってないし!」



千秋は上から下まであたしを舐めるように見ると、口元に手を当てて「うーん」と首を捻った。


「結構うまくできてんね」

「へ?」


千秋の言葉の意味がわからなくてキョトンとしてしまう。
そんなあたしの顔を覗き込みながら、恭子さんが笑った。



「菜帆ちゃんは、あのイケメンさんとデートなんだよねー?」

「え?……あはは」



イケメンさんなんて……。
って、実際英司は超かっこいいんだけど。



「急いでたんでしょ? 行ってらしゃい」

「あ、はい。 行ってきます」




そうだ、急いでたんだ。

って……あれ?


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