シュガー&スパイス
「気になってたんだ。 あの次の日、いつもと変わらなかったけど……最近様子変だなって」
「……」
“すれ違い”
“運命の歯車”
“必然”
ふと、あの言葉がよぎる。
でも、今週はたまたま会えてないだけで……。
あの夜は、いつもと違う英司が見られて……。
「……」
違う、英司?
そうだ……。
あの日の夜、英司はいつもと少し違った。
あんなに激しくあたしを求めてきた英司は、今までなかった。
ドクン
胸が重く鼓動を打った。
「……、菜帆?」
ハッとすると、倫子の大きな瞳が心配そうにあたしを覗き込んでいた。
すぐさま、言葉が出てこなかった。
「あ……、ごめん。でも、ケンカもしてないし、特になにもないから大丈夫」
ケラケラと笑って見せた。
「……そっか」
倫子も安心したように、ため息をついた。