シュガー&スパイス
しかも、コウくんって……。
この前千秋の家から出てきた女の子とは、また違う子みたいだけど。
ポケットに手を突っ込んだままの千秋が、困ったように宙を仰いだ。
あー、もうどうしよう。
この際、今の話聞かなかったつもりでさっさと部屋に入っちゃう?
そうだ、そうしよう!
だってあたしは、ただの隣人だもの。
千秋とは、家が隣同士ってだけだもの。
「……もう、会ってくれないの?」
「お店で会えるって。 ほら、彼氏待ってんでしょ?」
お店?
まさか、千秋ってホスト?
仕事何してんだろーって思ってたけど、まさかホストクラブで働いてるなんて!
でも、あの女慣れしてる感じ……。
そういう仕事なら納得だ……。
似合いすぎていて怖い……。
「……なにしてんの?」
「うわ!」
突然頭上で声がして、思わず飛び上がってしまった。
見上げると、目を見開いた千秋の姿。
ひぇえ!
いつの間にっ……。