シュガー&スパイス
「きゃああああ!」
ゴウゴウと風をきる。
物凄い速さで疾走する、ジェットコースター。
高いところは嫌いだけど、速いのは大好き。
「はあ、楽しかった!……って、千秋どうしたの?」
「……別に」
久々の遊園地に年甲斐もなくはしゃいでしまう。
乱れた髪を直しながら、さっきから黙ってる千秋を見た。
口元を手で覆ったままの千秋は、あたしが見てる事に気付きフッと視線を逸らす。
「もしかして」
「……なんだよ」
「ジェットコースター嫌いなの?」
「なんでだよ」
「だって顔が真っ青!」
「えええ」って指差して笑うあたしを見て、ほんの少し頬を赤らめた千秋は「うっせーな」って目を細めた。
……照れてる。
なんだかその姿に、ウズウズしちゃう。
「じゃあ次はあれ乗ろ! あれ」
ピッと指差した先を目で追うと、千秋はあからさまに顔を歪めた。