シュガー&スパイス
……怖い。
英司、もしかして怒ってる?
「困ってるなら、ちゃんと相談しなさい」
「え?」
「返事は」
「あ……はいッ」
切れ長の瞳が、グッと細められる。
あたしの返事を確認した英司は、コクンと頷くとさっさと食堂を出て行ってしまった。
「……」
ぼんやりその背中を見送っていたあたしの耳元にそっと囁き声が。
「独占欲丸出し」
へ?
思わずガバッと顔を上げると、ニヤリと笑った倫子と目が合った。
「あたしがいるのに、話しかけてくるなんて珍しいね?」
「え? そ、そうかな……」
うん、でもそうかも。
いつもは、絶対ふたりきりの時にしか話しかけてこなかったかもしれない。
倫子、するどい。
なんか、あったのかな……。
あとで、メールしてみよう。
湯気の立つお茶を見つめながら、あたしは言い知れぬ不安を覚えていた。