シュガー&スパイス
しゃがんでいた、あたしの手元に影が落ちる。
散らばっていた残りの書類を、拾い集めると、その人はあたしの背中にそっと触れた。
「課長、その事でお話が」
大きくて、いつも少しだけヒンヤリしてる手の感触に、あたしは息を飲んだ。
……英司。
英司は、あたしに立つように促すと、かばうように目の前に立った。
キリっとしたその横顔に、胸がギュッとつかまれたみたい。
こんな時に、不謹慎だってわかってる。
けど……。
……だけど、こんなのずるい。