シュガー&スパイス



思わず大声を上げて、慌てて口を塞ぐ。


なに?

なんでッ?



ネクタイを緩めながら、あたしの腰に手を回す英司。


いきなりキスをしようと、顔を近づける。



「ちょ、ちょっと待って!ど、どうしたの、英司……」



窓からは、キラキラとオフィス街の夜景が広がっている。

逆光になった英司のその表情は、本気なのか、はたまたそうではないのか、あたしにはわからなかった。



ただ、今まで、会社でそんな事したことない。

あ、えっと、そりゃあ、キスくらいはあったけど。
でも、それだけで、英司もちゃんとわきまえてくれてたのに……。





――ガタッ


「ぁ……ちょ……」






< 93 / 354 >

この作品をシェア

pagetop