シュガー&スパイス
思わず大声を上げて、慌てて口を塞ぐ。
なに?
なんでッ?
ネクタイを緩めながら、あたしの腰に手を回す英司。
いきなりキスをしようと、顔を近づける。
「ちょ、ちょっと待って!ど、どうしたの、英司……」
窓からは、キラキラとオフィス街の夜景が広がっている。
逆光になった英司のその表情は、本気なのか、はたまたそうではないのか、あたしにはわからなかった。
ただ、今まで、会社でそんな事したことない。
あ、えっと、そりゃあ、キスくらいはあったけど。
でも、それだけで、英司もちゃんとわきまえてくれてたのに……。
――ガタッ
「ぁ……ちょ……」