シュガー&スパイス
シン、と静まり返った会議室に、あたしの湿った声がこだまする。
やだ……。
思わず目の前の厚い胸板を押しやる。
でも、その手はあっけなく捕まった。
こうなったら、もう英司のペース。
どこかで、いつもより強引な彼にドキドキしていた。
いいのかな……。
こんなとこで、いいのかな……。
スカートをたくし上げる英司の少しだけ冷たい手の感触を感じながら、そっと彼を見上げた。
肌けて、あらわになった胸板。
むき出しになった鎖骨。
スーツの上からはわからない、英司の筋肉質な身体。
ドクン
月明かりで浮かび上がるそれは、あたしの身体を女にする。
久しぶりに見た、男の英司。
見上げた先の、伏し目がちの英司の瞳が、揺れていた。
「菜帆……俺の事、好き?」
「え?」