シュガー&スパイス
それって……。
英司はこーいう事するの、もうドキドキしないって事かな。
首を捻ったあたしを見て、体を折り曲げた英司はそっと太ももに唇を当てた。
「……ッ」
パンスト越しに、英司の舌が這う。
そして……。
「んっ……はぁ……」
押し寄せる快感の波に、キュッと目を閉じたその時。
ふと、英司のぬくもりが、あたしを解放した。
え?
「……え、英司?」
「……」
逆光のまま、俯いている英司。
少し乱れた英司の髪が、はらりと落ちた。
「――――……菜帆」
背後に紅い月を従えた英司は、あたしの顔を見ないまま。
滴が零れるように呟いた。
「……俺と、別れてくれ」