愛しい人~歌姫の涙~
あんたには負けたよ


不意に頭の中でそう言われ、この言葉を掛けられた頃が走馬灯のように映し出される。



あの頃はそれまで姉の面を借りて歩いてきて、いきなり自分の面で歩き出した自分の道に、戸惑ってばかりでひどくもどかしかった。



何度も何度も心が折れそうになった。



でも、折れそうな私の心をいつも支えてくれる人がいた。

家を飛び出した中学三年の冬に出逢い、私が私で歩くべき私の道を教えてくれ、私のたった一人の愛しい人・・・
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