愛しい人~歌姫の涙~
ここが私の出発点
入学式。



世間的に青春と呼ばれる三年間、その一ページという高校生活最初の日に私は憂鬱だった。

一体、これからどれくらいこの憂鬱を付き合うことになるか見当もつかないし、考えるのが面倒くさかった。



二ヶ月とちょっと前、中学三年だった私は進路先を大半の生徒が選ぶ小浜市の学校を選ばなかった。

更には敦賀市の学校でもなく、電車で二時間近くかかる福井市の学校を私は進路先として選んだ。

先生はやたらと理由を聞いてくるし、親とは最初にこのことを話したときは真っ先に大声を上げられ、その後は何度も何度も口論したものだった。

通学に片道二時間というのは私の負担というよりは、交通費を考える親のほうが痛手だということは子供と大人の微妙な狭間にいる私にも理解できた。
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