愛しい人~歌姫の涙~
学校に着き指定された教室へと移動すると、何人かは試験や登校日で見たことがあったが、自分から話しかけに行き仲良くできるほど私は人当たりがいいほうではない。

しかし、初めての教室に初めてのクラスメートと、初めて尽くし初日には私のような生徒のほうが多いのが当たり前で、同じ中学校と思われる幾つかのループ以外は黙って机に座っていた。


「あっ、前橋さんもこのクラスだったんだ」


私も例外なく、大人しく黙って机に座っていようと思ったが、聞き覚えのある声にそれを阻止されてしまった。


「常吉さん、同じクラスなんだね」


常吉由美子


登校日のときにたまたま席が私の後ろで、彼女はスポーツ推薦か何かで県外から来たと言っていたと思う。


「『つねよし』じゃなくて、常神(つねがみ)」


大げさに笑いながら私の肩を結構な力で叩いてきた。

これは体育会系というノリなのだろうか、常神由美子は初めて会ったときから仕草は何かと大きく大げさに見えて豪快だった。
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