ブラックコーヒー



誠司と二人で遊ぶのは初めて。

学校にいる時だって、いつも私と誠司の間には誰かしら人がいる。

だから、緊張してたんだけど…。


すぐに吹っ飛んだ。

誠司は優しい。

たぶん、私が緊張してたの気付いたんだと思う。

どこ行く?って聞かないの。

全部どこ行くか決めてくれるの。

私はどこ行くとか絶対決められないタイプだから、本当助かる。


「由奈、そろそろご飯食べる?」


「あ、そうだね。
どこ行こうか?」


「由奈食べたい物とかない?」


食べたい物…。

仁は昨日何食べただろ?

おいしいお好み焼き食べるって言ってたな。


「…お好み焼き。」


「お好み焼き?」


「え、あ…。
食べたことないから食べてみたいなーって。」


「じゃあ、お好み焼きにしよう!
俺、おいしい店知ってるから、由奈に食べさせてやる。」


「やったー。」


本当は初めて行くお好み焼きは仁と行きたかった。

でも、それは無理なこと。

仁と大阪に行くことなんてないから。

仁だって、私を連れて行く気ないだろうし。

だから、大阪って行ったんだよね。

仁、もう大阪から帰って来ないのかな…。


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