ブラックコーヒー



「お前、また青のり抜いたな!」


「だって、青のり付いてたら格好悪いもん。」


「阿呆。
青のりがタコ焼きの良さを出してんねんで。
毎度毎度抜きやがって。」


「早く食べないと冷めるよ。」


「本間や。
由奈もはよ食べ。」


早くなんか食べない。

食べ終わったら、仁は大阪に行っちゃうから…。

出来るだけ長くいたいから…。


「遅いなー。
熱いうちに食べてまわな。」


「猫舌だもん。」


「まあ、ここのは冷めてもうまいからええけど。」


仁は早く大阪行きたいのかな?

行きたいよね?

彼女と久しぶりに会えるもんね。


「仁、後あげる。」


「は?
もういらんのか?」


「うん。
冷めちゃったからもういい。」


「あのなー…。
しゃーない。
俺が食べる。
食べ物は大切にせなあかんねんで。」


「はーい。」


これでまた仁と少しでも長く一緒にいられる。


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