ブラックコーヒー



「由奈、送ってく。」


「いいよ。
そんなの悪いし。」


「ええねん、ええねん。
ついでに、この間言っとったCD貸してや。」


CD…。


「…あ。
誰か他の奴に貸しとう?」


「ううん、ある!
早く行こ。」


「お、おう?」


すぐ店を出て、仁の車に向かう。

だって。


「由奈歩くのはえーよ。」


「仁が遅いの。
大阪行くんでしょ。」


「そやけど。
もう少しゆっくり歩けや。
由奈は急ぐ必要ないんやし。」


「うん…。」


もっと仁と一緒にいたいけど。

でも…。


「分かった!」


何…、が?


「何か用事あるんやろ。
せやから、はよ帰りたいんやな。
ゆーたら、すぐ連れて帰ったるやん。」


あ…、良かった。

仁が関西人で。


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