歩み
そしたら俺は騙されて飲むからさ。
そして紙に親父の名前を書いて、翌日の朝刊のトップ記事にしてやるんだ。
…なんて、無理な話だけれど。
「苦い…」
ブラックコーヒーが語る。
俺はまだ子供だと。
苦さが教える。
俺は甘さを求めていると。
朝食なんかいらない。
受けつけられないのだ。
体が欲しくないと言っている。
そんな時に、無理に胃の中に入れるのは可哀想だ。
俺は着ていた寝間着を脱ぎ、クローゼットから黒のタンクトップを取り出して、それを来た。
ふと、横を見ると、鏡に映った自分と目が合ってしまった。
自分でも分かる。
《苦痛》だと。
ズキン…と頭が唸る。
それは、親父の怒鳴り声。
あれは、俺が初めて親父を批判した時だった。
去年の中学の入学式の前日。
俺は髪の毛を金髪に染めた。
なぜかって?
親父の困った顔が見たかったからだ。