歩み
~6.第一号~
…朝陽が顔を出す。
今日は何故かすぐに起きられた。
いつもなら二度寝をしてしまうのだけど、今日はどこか違う。
すがすがしい気持ちでいっぱいだ。
ふと視線をずらすと目に映ったモノ。
それは新しい制服。
カッターシャツに、ネクタイ。
そしてチェック柄のズボン。
そう、今日から俺は高校生だ。
学ランとはサヨウナラ。俺は大人となる。
俺が通う高校は、家から少し離れている。
けどバスや電車を使わなくてもいい。
自転車で行ける距離だ。その名前は《清秀高校》
この学校は俺が選んだのだ。
公立なのに設備もいいし、それに偏差値も高い方に入る。
そして、親父の母校なのだ。
だから俺がここを選んだことを親父に言うと『頑張れ』と言っただけ。
正直嬉しかったんじゃないかなって思う。
ほら、親父はそういう姿を見せないから。
その時、充電されていた携帯が鳴り出した。
あいつとお揃いの着信音。
お知らせランプがピンク色に光っている。
それを見た俺は嬉しくなるんだ。