歩み


でも逆に浮気をされたらどうしようと思う。
高校に行って、俺よりかっこいい人が沙紀の前に現れたら、俺はどうすればいいのだろう?

沙紀を守れるかな?



『ちょっと、歩どうかした?まだ眠いの?』



「違うよ、考え事してただけ!!」



『本当ー?また準備したら歩の家に行くね。じゃあね』



電話の向こうで笑う沙紀。
沙紀が笑うと俺も嬉しくなる。


電話を終えて、俺は制服の前に立つ。



「今日からよろしくな…」



本当は不安だった。
友達が出来るかなって。俺は友達は利用して終わりだと思っていたから、心から信じられる友達が出来るかなって、怖かったんだ。



けど、ありがとう。
友達になってくれて。




すると部屋中にある音が響き渡る。
この音は何年も変わらないまま。



「はいはい。なに?」



『歩さん、おはようございます。今日から高校生ですね』




沙紀と出逢った朝もこうだった。



「おはよう!朝ご飯持ってきて!腹減った!」




冷めたご飯は嫌だよ。
ちゃんと温かくしてよね。



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