歩み


友達作りってこんなにも難しいモノだったっけ?隼人と友達になったきっかけって何だ?
思いだそうとしても無理なよう。
それだけ深い友情じゃなかったということかな。


その時、いきなり教室のドアが開いた。
現れたのは穏やかな表情をした女の人。
その人は前に立ち、俺たち生徒をぐるりと見渡す。



「えっと、初めまして。1─2の担任の林和子です。みなさん、よろしくね」



こう言って、最後に笑顔を見せた。
この人が俺たちの担任の先生?


意外かも。
俺が想像していたのは、もっと中年の人がと思っていた。


なんか安心かも。



すると次第にざわめきだすクラス。
先生はそんな空気に一言も口出さない。


きっとみんなの緊張をほぐそうとしているのだろう。
笑顔のまま俺たちを見ていた。



…今だ。
今しかない。



彼に話しかけるチャンスだ。



俺は勇気を出して、後ろを振り返る。




< 179 / 468 >

この作品をシェア

pagetop