歩み
優はどう思ってくれているのか知らないけど、勝手に思わせてくれよ。
…終業のチャイムが鳴り響く。
今日は入学式だけの予定だったから早く終わった。
優と友達になり、いろんなことを話した。
どこに住んでいるとか、好きな歌手は誰だとか。
今思えば薄い内容だったかもしれない。
けど俺にとって、優との会話はとても刺激的なモノだった。
話していくうちに、優の中身を見られそうで。
俺の目に狂いはなかった。
優は最高だよ。
「じゃあな!」
優に別れの言葉を言う。明日も会えるよね、という儀式的なもの。
「おう!じゃあな、歩!」
またあの笑顔で俺に返事を返してくれる。
その笑顔に何度心が熱くなっただろう。
未だに少し慣れないかもしれない。
優の友達が優を迎えにきて、優はそちらの方に行ってしまった。
俺も帰ろうと思い、沙紀の方を見る。
沙紀は窓際のところで誰かと話していた。
後ろ姿は、艶やかな茶色の髪の毛に色白の肌。
まるで『お姫様』