歩み
やっぱり、おとぎ話のように世界は成り立っているんだよ。
王子様はお姫様と恋に落ちて、幸せになる。
優もそう願っただろ?
「沙紀ー!帰ろうぜ!」
少し大きめな声を出して、沙紀の名前を呼ぶ。
その声に気がついて、こちらを見る。
「今すぐ行くね!」
沙紀は会話をしていた女の子に笑顔で理由を話して、「バイバイ」と手を振って俺の方に向かってきた。
「いいの?あの子」
「話終えたとこなの。大丈夫!理由話したら『全然いいよ』って言ってくれたよ」
「そう?それならいいんだけど」
沙紀の頭をぽんぽんっと撫でて、沙紀の手をぎゅっと握った。
俺はどうしても話したくて仕方がなかったんだ。
初めての友達のことを聞いて欲しかったんだ。
下駄箱で靴を履き替えて、二人乗りをして学校をあとにする。
道路に散らばる花びらが、どこか笑っているように見えた。