歩み


散ったはずなのに、泣くどころか笑っていた。
優も花にたとえると桜のようだった。

けど優はそう思っていないよね。


優、お前は自分を責めすぎなんだよ…。



俺は勢いよく自転車を漕いでいく。



「俺、友達になっちゃった!後ろの席のヤツと。鈴木優って言うんだって!」



興奮しながら喋ると、自転車のスピードが速くなるのは気のせいかな。

沙紀が俺の制服を握る手が強くなる。



「そうなんだ!あたしね、歩の席の斜め後ろの女の子と友達になったんだ!」



耳元でこう元気よく言う沙紀。
俺の斜め後ろ?
ということは優の隣ということか?
誰だっけ?
見てもいなかった。



「え?誰?」



「知らないの!?すごい可愛いんだよ!名前は小林百合っていうんだよ!名前の通り百合みたいな女の子なの!」



沙紀が俺のように興奮して話す理由が分かるよ。
優もこの日、恋に落ちていたんだよな。



やっぱり、この世界は単純に出来ていて、王子様とお姫様は一緒になるんだよ。



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