歩み
俺がもし明日いなくなるとしたら、俺は沢山沙紀宛のラブレターを書くよ。
それを沙紀は受け取ってくれる?
「…愛してるよ…」
耳元で囁く俺。
お前に毎日言いたい言葉は、『愛してる』
恥ずかしいけど、ちゃんと聞いてね?
小さな声で言うから。
…翌日、今日も俺は学校に来ている。
けど、チャイムが鳴っても優は現れなかった。
何でいないのだろう?
もしかして俺が嫌になったとか?
変な方向ばかり考えてしまう。
ぐるりと辺りを見渡した時、沙紀が昨日言っていた『小林百合』と目が合った。
沙紀の言った通り、彼女はとびきり可愛かった。
まるで白雪姫のようだった。
間違いなく、このクラスの男子の半分は惚れたに違いない。
そんな時、いきなり教室のドアが開いた。
「すみません!遅れました!!」
その犯人は優だった。
優を見た瞬間、心のどこかで安心をする。
「おはよ!どうした?」
席に着く優に元気よく挨拶をする俺。
優は苦笑いをして「ただの寝坊」だと言った。
バカかもしれないけど、寝坊がこんなにもかっこいい行為だと、優を見て思ったんだ。