歩み


笑われてもいいよ。
笑ってくれよ。
俺はダメージなんて喰らわないから。


けど俺は気づいてしまった。
優はある人に恋をしていると。
優の顔を見ていれば分かる。
俺は色々な人の恋を見てきた。
だからこういうのはすぐ分かる。
優の表情を見ていれば分かってしまったよ。


お前は恋をしている。


それが分かったのは、学級委員が決まったあとだった。
学級委員になったのは優と小林百合。
隣同士に並ぶ優たちが、お似合いすぎて真っ直ぐ見られなかった。
嫉妬かな?
こんなにもお似合いな二人を見ていたら、苦しくなった。


ふと考えたのだ。
俺と沙紀はお似合いかなって。


そんなのどうでもいいか。
大事なのはそんなことじゃない。


俺は授業が終わったあと、優を試したんだ。
確信したかった。
そうした方が優が楽になるだろ?
だからだよ。


一時間目が終わり、俺は優に話しかけた。


「優ちゃん!」



わざとらしく、テンションを上げて言う。
そのテンションに驚いたのか、優は明らかに引いていた。




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