歩み
「優?おい?」
やっぱり聞きたい。
お前は小林のことが好きなんだろ?
隠しても意味ないよ。
俺は優の肩を揺さぶり、反応を見る。
「ボーッとしてた」
優は我に返り、俺を見た。
その瞳は明らかに何かを隠している。
少し意地悪してみようか。
「大丈夫かよ?ははーん、さては優、沙紀の隣にいる子が好きなんだろ?」
さぁ、優はどうするか。一か八かの賭けに出る。
もし「うん」と素直に認めたら、いいことをしてやるよ。
「は?何で?」
そんな焦らさなくてもいいよ。
素直に言えよな。
俺は怪しい笑みを優に向ける。
「お前見てればわかるから」
分かり易いよ、優。
やはり誰でも表情は出てしまうんだね。
「まじで……うん…」
優の答えは「YES」
俺の出番が来ましたね。
「やっぱし!ちょっといいことしてやる」
俺は白い歯を見せて、沙紀の方に顔を向けた。
そして沙紀を呼び出す。
沙紀は何も怪しむことなく、俺の方に近づいてきた。
沙紀の耳元である話をする。
優には聞こえないように。
「優が小林百合のアドレス聞きたいらしいよ!協力してくれ」
こう言うと沙紀は俺にピースサインを作って、協力をしてくれた。