歩み



その言葉を聞いた瞬間、俺は飛び上がるくらい嬉しかったんだ。
小林は優のことが気になっている。
そして優も小林のことが気になっている。
もう両想いじゃないか。

優か小林かが気持ちを伝えれば二人は晴れて恋人同士になる。


そう考えたら、優の笑顔が頭の中に浮かんできた。



「まじで!?じゃあ何としてでも二人をくっつけなきゃいけねぇじゃん!」



沙紀と顔を見合わせて、二人で勝手に盛り上がる。


「でしょ、でしょ!二人をくっつけるしかないよ!!」



興奮する二人。
こんな俺たちを周りの人は変な目で見ていただろう。
そんなの気にするものか。
お前たちには分からないだろ?
俺たちの嬉しさを。



そんな時、俺は興奮のあまり、持っていた自転車の鍵を思いきり飛ばしてしまった。
数メートル先に落ちる自転車の鍵。



「あ…」



俺はその場所まで駆け寄る。
拾おうとした時、視界に誰かの手が映った。
細い指に、艶々な爪。
もうそれだけで女だと思わせる。



ふと顔を上げると、そこには言葉を失ってしまいそうなくらいの美人がいた。




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