歩み



昨日言ってくれたじゃないか。
『歩、最高』だって。
だから俺はお前に色々としてあげたいと思ったんだよ。


なのに、一人で抱え込むなよ。



その時、後ろから『おはよー』と小林の声が聞こえてきた。



「百合、おはよ」



沙紀が小林に挨拶をする。



「沙紀、斉藤くん、鈴木くん、おはよ」




笑顔で挨拶をしてくる小林。
小林は昨日となにも変わっていない。
けどきっと何かあったはずだ。
でも今は聞かないでおこう。

優が話してくれると信じている。



けど今日は最悪な日だということを忘れていた。そう、実力テストなのだ。
今さら実力テストをやってどうなるんだって話だけど受けなきゃ仕方ないか。


テスト中、ずっと優のことを考えていた。


二人はもう両想いなのに、なぜ上手くいないのだろう?


すっかり忘れていた。


恋愛はテストなんかよりずっと難しいということに。



< 197 / 468 >

この作品をシェア

pagetop