歩み
優はどうしたいのだろう?
好きなら素直に行動すればいいじゃないか。
何故避けるようなマネをするんだよ。
風が、強くなった。
その拍子に、教室のカーテンが揺れる。
風と共にあるモノが教室の中に入ってきた。
それは俺の足元で息を止めた。
それは、一枚の桜の花びら。
まだ鮮やかなピンク色のまま。
「木田くんには教えてもらったんだけど…。メールしても返ってこなかったの」
涙を我慢して無理矢理笑顔を作る小林。
そんな小林を見た俺と沙紀は言葉を失ってしまう。
「…優は何がしたいんだろ?」
秒針の音が虚しさを与えた。
優、お前は何がしたかったの?
ヤキモチを自分の手で消そうとしたの?
無理に強くなろうとするな。
焦って強くなろうとしても、何かを失ってしまう。
だから焦ったりするなよ。
一時間目が始まっても、優は帰って来なかった。
担任の林先生の授業が始まる。
先生は今後の授業の進め方について話している。
俺は優が心配で仕方がなかった。
そんな時、急に教室のドアがうるさい音をたてて開いた。
ドアを開けたのは優だった。