歩み
そういう人たちが許せないだけだ。
「優~!!」
教室に着き、俺は優の席へと駆け寄る。
息が上がっていて思い浮かぶ言葉たちが素直に出ない。
そんな俺を見た優は理解に苦しんだだろう。
「何だよ」
呼吸を整えて真実に触れようとする。
「お前、相沢瞳の告白断ったって!?」
言えよ、言えよ。
真実を言えよ。
「えっ?うん」
優は驚いた表情を見せて、俺にこう言った。
それを聞いた俺は真実だと実感をする。
だからついついこんな言葉が零れ落ちてしまったのだ。
「もったいねー」
「何でだよ。俺は百合が好きなんだよ。瞳じゃないし」
「まぁなー」
真剣な瞳で俺を見つめる優。
その瞳を見ていたら分かるよ。
優は小林が本当に好きなんだな。
あれ…?沙紀がいない。今更になって沙紀がいないことに気がついた。
教室に来るまで一緒にいたよな?
じゃあどこへ?
「つうか情報早くね?」
すると優がこう聞いてきた。
やはり俺が知っていたことに驚いたのだろう。
「すんげぇ噂になってるぞ」