歩み


「鈴木くんもてるねー!誰かとは違って」


突然沙紀が目を細くし、俺を見てくる。


ちょっと、ちょっと。
何だよそれ。
まるで俺がモテないみたいじゃん。



「はぁ?俺はお前がいるからモテねーの。いなかったらモテてたよ」



無機になって反論するからガキだと思われるのかな?
けど自惚れかもしれないけど、入学式から数々の女子生徒から声をかけられた。
これってモテるってことじゃないの?
でも俺には沙紀がいるから彼女たちには何も応えてあげられなかったけど。


「まぁ歩の世話ができるのは、沙紀しか無理だと思うけどね」



「そうだな…」



何だよ、それ。
素直になればいいのに。今朝の言葉がよぎる。
『歩しか見ていない』と言ったじゃないか。

照れてるの?可愛いね。


また沙紀にハマってしまうよ。



嬉しいことはこれだけじゃなかった。
放課後に、二人の気持ちは繋がったのだ。
そこに俺はいなかったけど、報告をしてくれた時は、飛び上がるくらい嬉しかったんだ。



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