歩み
「ああ!もううぜー!!」
やっと人混みから出られた俺は、怒りを露にして、その場にいる人たちをガンつけた。
見てみろよ?
さっき取ったプリントがもうくしゃくしゃだぞ?
「歩ー…」
後ろから声がすると思い、後ろを振り返ると、そこには人混みに紛れた隼人がいた。
その状況に笑ってしまいそうになったが、そこは友達としてぐっと堪える。
「なにやってんだよ?置いてくぞ?」
「待て待て待て!!
この状況で助けないとか酷くね!?」
「頑張ってー」
俺は隼人と置いて静かな場所へと向かう。
なんか今は一人になりたい気分。
事務所から少し離れた場所のあまり人がないところへ足を進める。
ちょうどベンチが空いていたから、そこに座った。
「帰りてぇ…」
空を見上げると、そこには澄み渡った青があった。
目を細めて、ずっと空を見上げる。
なんで、生きているんだろう。
ふとこの空を見て思ったんだ。
ぎゅっと握りしめるプリント。
正直、始業式とか新しいクラスとか興味がなかった。
けれど、神様はこんな俺に希望を与えてくれた。