歩み


「歩!!俺を置いてくなよ!!」



この声は隼人。
一人の時間さえも邪魔をされる。
うんざりだよ。


「お前が遅いからだろ?」


「ちげぇよ。捕まってたの」



こう言い訳をして隼人は俺の隣に座った。
このベンチが二人がけじゃなければ良かったのに…。


そしたら俺は一人になれたかもしれない。



「で、クラス見た?」


そうだ、忘れていた。
プリントの本来の意味を。
くしゃくしゃになるために生まれてきたんじゃないよな、このプリントは。

新しいクラスが書かれているのだった。



「えっと…何組だっけ?」


くしゃくしゃになったプリントを広げて、自分の新しいクラスを探してみる。


俺の学校は二年生だけで8クラスある。
そこから自分の名前を見つけ出すのは結構大変なもの。


半分くらいで諦めそうになった頃、ようやく自分の名前を見つけた。


「俺、D組だ。隼人は?」



俺は2年D組。
教室の位置は階段から近いな。



「お!俺もD組だ!!一緒だな!歩!でも梨花の名前はない…」



そうなんだ。
ただそれだけしか思わなかった。



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