歩み
だって、隼人は俺より恋人の方が大事なんだろ?俺と同じクラスになれたことに対して、全然喜んでいないじゃねぇか。
ま、どうでもいいけど。俺は隼人を独占したいわけじゃないし、そんなのには興味ないし。
「あっゆむー!何組になったー!?」
遠いところから声が聞こえる。
その声はどうやら二階から聞こえてきたようだ。
俺は二階の方に顔を向けると、そこには大きく手を振った、二人組の女の子がいた。
名前は、なんだっけ?
忘れた。
「俺、D組だよ」
愛想よく手を振り返して、質問の答えを返す。
その答えを聞いた二人は残念そうな反応をして、窓から姿を消した。
お前らも結局そうかよ。
深い意味なんかないことくらい知っているが、この寂しさはなにか教えてよ。
「歩、クラス行こうぜ。荷物置きたいし」
未だに隼人は沈んでいるようだ。
言葉にハリがない。
「めんどくさ…」
始まりとか、めんどくさい。
なにも変わらないことくらい分かっているから。